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最近のタイの情勢について

最近のタイ情勢について


最近多くの方々からタイの最近のデモに付いて聞かれます。

私はタイに工場があるだけで政治には関係有りませんが

余りにも頻繁に先が如何の??とか細かいところまで質問され

私の様な人間に判るものでも無く多少嫌気が差しています。


前回(2009年)の赤シャツ(タクシン派)のデモの際は

当方、商社の入居していたビル(タニヤプラザ ビル)の前に

1か月近く軍隊の装甲車が数台待機しており

デモ隊鎮圧の朝、日本時間8:30(現地時間 6:30)

私が、たまたま当日の朝インタネットで情報チェックしていたら

当方のオフィスのあるビルの前をデモ鎮圧に向かう装甲車が目に入り

慌ててタイの出勤前の社員に出勤せぬ様に指示しました。

結果、100名程の死者が出てデモが収まりました。


今回、黄シャツのデモと成りますが

是までの赤:黄色のデモは多少の時期のズレがあるかも知れませんが。

2001年 タクシン政権スタート

           北部地域農家へバラマキ政策(タイ北部.東北部が恩恵を受ける)。

           タクシン一族の汚職が表面化

           自分の通信会社をシンガポールの会社に売りつけ多額の利益を

           受ける(通信会社、元国営企業⇒売国奴と非難される)

           タイ王国の王制度の見直し(王族と国民から非難を受ける)等

           首相在任中に、首相権限による私利私欲が目立ちすぎていた。

2006年 タクシン追放のクーデター(陸軍ソンティ司令官 黄色側)

            軍主導の暫定政権(経済に弱い⇒経済政策失敗)

2007年 選挙 (サマック首相政権発足 赤色)

2008年 黄シャツデモ :国際空港閉鎖

2008年 選挙 (連立政権 アシピット政権発足 黄色

2009年 赤シャツデモ :アセアン(パタヤ会議妨害等の破壊活動 赤色)

2011年 選挙 (現インラック政権 赤色)

2013年 特赦法(タクシンを帰国させる為)制定へ国会での数の力による

           強引な動きから 今回のデモがスタート  黄色)。

以上、

原因は、タクシン元首相が如何の軍部が加担した黄シャツから始まり赤と

黄色の入れ替わりを繰り返しているだけでした

今回の特徴は

現在のタイのインラック首相は2006年軍部のクーデターで海外亡命中の

タクシン元首相の実妹である事。

初めてタイでの女性首相(それも美人で若い)との事で全体的にもソフト

イメージでそこそこ人気があり沈静化していましたが

実兄である、タクシンの操り人形との批判は之までもありました。

そこで自分の人気に頭に乗って仕舞ったのか

特赦法で実兄(タクシン)をタイに帰国出来る様に国会(下院)で数の力で

強引に法的整理を行おうとして反発を食らい今回の騒ぎと成っていますが

今回は両陣営とも、何が何でも決着を付ける覚悟の様です。


では

亡命中の元首相のタクシンはタイの国で何をして来たかと云う事ですが

簡単に言えば

北部チェンマイ生まれの中国系の客家人(中国名:邱 達新)で元警察官

(階級=中佐?首相に成っても警察官の地位はそのまま残ります)

在職中にアメリカ留学して警察官を退職し実業家と成り通信会社を経営

(日本で言えばソフトバンク、AU) 携帯電話の普及で巨大な財を成す。

その後政界に入り

自ら巨大な財を基に政党党首と成ってタイ首相と成る(経済に強い)。

政策は、

それまで貧困層と言われた地元中心農村部への手厚いバラマキ政策

現在でも政府が国家予算で高額なコメの買い取りを行っている。

貧しいが大票田に税金にて金を投入、是がタクシンの頭の良い処で


タイの国は大きく分けて4つの地区に分けられる

① バンコクを中心とした中央地区     (国民の 34%の人口

    タイの国と経済の中心でタイの階層社会に於いて既存勢力

② チェンマイ地区(北部地区)        (国民の 18%の人口

    タクシン、現首相のインラックの地元=親タクシン地区

③ イーサン地区(東北地区)             (国民の 34%の人口

    元ラオス(言葉もラオ語)で昔から貧しく中央から蔑まれて来たが

    タクシンが首相に成ってバラマキ政策で潤う=親タクシン地区

④ 南部地区(マレーシア国境)         (国民の 14%の人口

    クメール(カンボジア)人が多いとされイスラム地区で南部3県による

    独立運動が盛んでテロ行為が多発している。

    タクシン時代、独立運動や麻薬取締の行き過ぎに国際社会から

    非難を受ける、(どちらかと言えば反タクシン)。

以上、

自分の出身地である北部地区② +東北地区③で

 タイ全体の人口の52%と成る。タクシンは其れまで中央から下に見られ

光が当らず貧しいが大票田(タイの人口の34%の東北部(イーサン地区)

に首相と成って 国の税金によるバラマキ政策で、貧しい地区に初めて光を

 当てて人気を集めた事のより現在も人気が高い。

 したがって今回も選挙を行っても黄色は勝てない

 だから黄色側は選挙をさせない。と云う事に成ります。

今の自由主義社会では民主主義は何処に行ったと云う事に成る。


タイ東北部(イーサン地区=元ラオスで時代に振り回されている地域)

何故、東北部(イーサン地区)はタイの歴史の中で光が当ら無かったのか?

100年余り前のフランスの植民地時代からの近代の置き土産と思います。

第二次世界大戦後の冷戦時代のベトナム戦争の代表されるインドシナ紛争

 (ベトナム,ラオス,カンボジアそれぞれ社会主義的な紛争を起こしている)

過去のフランスとイギリスとの覇権主義の狭間で翻弄された歴史があり

植民地化され抑圧された歴史の反動だと思いますが

タイの国にとって幸いだったのは、第二次世界大戦初期(1942年?)の

旧日本軍の手を借りた、タイとフランスのインドシナ国境紛争に勝利して

今のタイの領土が在るタイ人の親日的な裏には この様な歴史がある

(タイのデモの拠点の 戦勝記念塔は当時フランスに勝利した記念塔です)

タイ東北部も、元ラオスであり歴史の中で何時領土を取られるか判らない

何処の国にでもある国境付近の整備遅れからの貧困の歴史。

私から言わせて貰うと、タイを含めインドシナの紛争の基は植民地時代

ただ国益だけの身勝手で強引なフランスの植民地政策に在ると云う事です。

(隣国と陸続きでは無く、植民地化された歴史の無い、ほぼ単一民族の

   日本人では理解できない処です)


私が思う、今後のタイ情勢について(私感)

①今回の選挙は、昔同じような前例があり不成立となると思います。

    しかし今回選挙を行った下院(日本での衆議院)は既に解散している。

    国会を開けません。

②国会が開けず予算編成が出来ない状態

    国が買い取った米(国が1.4倍位で買い取り)の支払いが出来ない

    状態で、タイ米が国際市場で高価と成り輸出も出来ない(売れない)

    農家に支払う金が入って来ない ⇒農家に買上の支払いが出来ない。

    (昨年はタイ米のコメの輸出は是までの世界一の座から降りています)

    現在の黄色シャツデモとは別に、政府側である農家が自分たちの

    収入が途絶え、政府に対し支払いを求めて別途 デモを行っている。

③政府に資金が無く、農家からの買上米に対する支払が出来ない為

    政府は銀行に借入を要望したが政府系、民間系銀行全て断っている。

    先週(2月13日位)、一政府系銀行が貸出を宣言したが

    行員も反対の意思を表す為の黒服を着て勤務、発表後2日間で

    預金者が政府への貸出金額の4倍の預金を引き揚げ反対の意思

    表示を行い,その銀行頭取は責任を取って即辞任してしまいました。

    国民も現在のインラック政権の汚職を理解している事に成り

    農家からの米買取資金が消えていると云う汚職問題に発展しています。

④タイの裁判所と汚職管理委員会が動きだし現政権への汚職とバラマキ

    農政に対し査察に入っています、それに伴い

    タイの国会の上院(貴族院の様なもの)で採決される可能性も大きく

    現政権のインラック首相の公務停止命令が発動される可能性が大きい

    と思います。


結果、一時無政府状態の様な状態と成り?その次に如何何成るか?

私にもわかりません。

ただ、私ら日本人の感覚と正義感だけでは理解しづらい事が多すぎます。